First updated 2/24/2003(ver.1-1)
Last updated 3/2/2011(ver.3-1)
「花のえん」(題箋)
きさらきのはつかあまり・南殿のさ
くらの宴せさせ給・后春宮の御つほね・
0001【后】−藤壺
0002【春宮】−朱雀院
左右にして・まうのほりたまふ・弘徽殿の
女御・中宮のかくておわする越・折ふし
ことに・やすからすおほせと・ものミにはえ
0003【ことに】−毎ナリ
すくし給ハて・まいり給・日いとよくはれて・
空のけしき・鳥のこゑも・心ちよけなる
に・みこたちかむたちめよりはしめて・そ
の道のハみな・たむゐむ給ハりて・ふミつ
0004【たむゐむ】−探韻也 各分一字詩也
0005【ふミつくり】−作文
くり給ふ・宰相中将・春といふもし給は」(1オ・269D)
0006【宰相中将】−源氏
れりと・の給ふこゑさへ・れいの人にこと
なり・つきに頭中将人のめうつしも・たゝな
らすおほゆへかめれと・いとめやすく・もう(う$1て<朱>)
く(く$1<朱>)しつめて・こハつかひなともの/\しく・す(△&2す)
くれたり・さての人/\ハみな・をくしかち
0007【をくしかち】−臆
に・はなしろめるおほかり・地下の人ハ・まし
0008【はなしろめる】−世俗におくしたる事を鼻しろむといふ
てみかと春宮の・御さえ・かしこく・す
くれておハします・かゝるかたにやむゝ(ゝ$1こ<朱>)となき
人おほく・ものし給ふころなるに・はつか
しく・はる/\とくもりなきにはに・たち」(1ウ・269I)
いつるほと・はしたなくて・やすき事なれと・
くるしけなり・としおいたるはかせともの・なり
0009【はかせ】−博士
あやしくやつれて・れいなれたるも・あハれ
0010【なれ】−馴
にさま/\御らんするなむ・おかしかりける・
かくともなとハ・さらにもいはす・とゝ(ゝ$1と<朱>)のへさせ
0011【かく】−楽
給へり・やう/\入日になるほと・春の鴬さへ
0012【春の鴬さへつるといふまひ】−春鴬囀一越調 一名天長宝寿楽
つるといふまひ・いとおもしろく見ゆるに・
源氏の・御もみちの賀のおり・おほしいてら
れて・春宮かさしたまハせて・せちにせ
めのたまハするに・のかれかたくて・たちて」(2オ・270A)
のとかにそてかへすところを・ひとをれけし
きハかりまひ給へるに・にるへきものなく
見ゆ・左(左$1左<朱>)のおとゝ・うらめしさもわすれて・
0013【左のおとゝ】−摂政
0014【うらめしさ】−女葵上事
涙をとし給ふ・頭中将いつらおそしとあれ
は・柳花苑といふまひを・これハいますこし
すくして・かゝる事もやと心つかひや
しけむ・いとおもしろ(△&2ろ)けれは・御そ給
0015【いとおもしろけれは】−花宴事了 王卿以下各賜禄也
0016【御そ】−御衣
ハりて・いとめつらしき事に人をもへり・か
むたちめ・ミなみたれてまひ給へと・夜に
入ては・ことにけちめも見えす・ふミなとかう」(2ウ・270F)
0017【ふミなとかうするにも】−舞楽之後講詩定事也
するにも・源氏の君の御をハ・かうしもえよミ
0018【御をハ】−御詩也
やらす・くことにすしのゝしる・はかせともの
0019【すし】−誦
心にもいみしうおもへり・かうやうのおりに
も・まつこの君をひかりにしたまつ(つ$1へ<朱>)れは・
みかともいかてかをろかにおほされれ(れ#1<朱>)ん・中
宮御めのとまるにつけて・春宮の女御の
0020【春宮の女御】−春宮の母女御也
あなかちに・にくみ給らむもあやしう・
しう(しう$1<朱>)わかかうおもふも・心うしとそみつから・
おほしかへされける
おほかたに花のすかたを見ましかは」(3オ・270K)
0021【おほかたに】−藤壺<右> 古今 露ナラヌ心越花ニヲキソメテ風ふくことに物ヲモイソツク
露も心のおかれましやハ御心のうちなりけん
こと・いかてもりにけむ・夜いたうふけてな
むことはてける・上達部をのをのあかれ・后
0022【あかれ】−分散ナリ
春宮かへらせ給ひぬれは・のとやかになり
ぬるに・月いとあかうさしいてゝ・おかしき
を・源氏の君・ゑい心ちに・見すくしかたく
おほえ給ひけれハ・うへの人/\もうちやす
みて・かやうに思ひかけぬほとに・もしさりぬ
へきひまもやあると・ふちつほわたり
を・ハ(ハ$1ワ<朱>)りなふしのひて・うかゝひありけと・かたら」(3ウ・271B)
ふへきとくちもさしてけれハ・うちなけ
きて・なをあらしに・弘徽殿のほそとのに・
0023【なをあらしに】−\<朱合点> 万 なをあらしとことなしくさにいふこと越きゝしれらくハすくなかりけり
0024【ほそとの】−細殿也 廊を細殿といふ 一説廂を云
たちより給つ(つ$1へ<朱>)れハ三のくちあきたり・
0025【三のくち】−弘徽殿に北南へほそくとをりたる戸あり 是ハ北より第三間ニアタル戸也格子ヤリ戸也<左>
女御ハうへの御つほねに・やかてまうのほり
給にけれハ・人すくなゝるけハひなり・おく
のくるゝともあきて・人をともせすかやう
0026【くるゝと】−クルヽ木也或ハタヽキ戸とも号也
にて・世中のあやまちハするそかしと思ひ
て・や△(△#1<墨>を<朱>)らのほりてのそき給・人ハみなねた
るへし・いとわかうおかしけなるこゑの・なへ
0027【いとわかうおかしけなるこゑの】−源氏君通朧月夜尚侍事
ての人とハきこえぬ・おほろ月夜ににる」(4オ・271G)
0028【おほろ月夜ににるものそなき】−\<朱合点> 大江千里 てりもせすくもりもはてぬ春のヨノヲボロ月ヨニシク物ソナキ 是ニヨツテ朧月ヨノ尚侍ノ御門といふ
ものそなきと・うちすして・こなたさまに(に+1ハ)く
るものか・いとうれしくて・ふと袖越とらへ
たまふ・女おそろしと思へるけしきにて・あ
なむくつけ・こハたそとの給へと・なにかうと
ましきとて
ふかき夜のあハれをしるも入月の
0029【ふかき夜の】−宵灯共憐深夜月
おほろけならぬ契とそおもふとて・やをら
いたきおろして・とハをしたてつ・あさまし
0030【とハ】−戸
きにあきれたるさまいとなつかしう・おかしけなり
わなゝく/\こゝに人と・のたまへと・まろハみな」(4ウ・271M)
人にゆるされたれハ・めしよせたりとも・
なむてう事かあらん・たゝしのひてこそと
の給ふこゑに・このきミなりけりときゝ
さためて・いさゝかなくさめけり・わひしとおもへる
ものから・なさけなく・こわ/\しうハ見えし
とおもへり・ゑい心ちやれいならさりけむ・ゆ
るさん事ハ・くちおしきに・女もわかうた(△△&2うた)を
やきて・つよき心もしらぬなるへし・らう
たしと見給ふに・ほとなくあけゆけハ・心
あハたゝし・女ハましてさま/\に・おもひみ」(5オ・272D)
たれたるけしきなり・猶なのりしたま
へ・いかてきこゆへき・かうてやミなむとハ・
さりともおほされしとの給へハ
うき身世にやかてき△(△#1)え(え+1な<朱>、な&1な<墨>、え+1)はたつねても
0031【うき身世に】−おほろ月夜
草のはらをはとはしとやおもふといふさま・
えむになまめきたり・ことハりやきこえた
かへたるも・しかなとて
0032【しかなとて】−サソナノ心也
いつれそと露のやとりをわかむまに
0033【いつれそと】−源氏 いつれそとタツネン程も猶おほつかなかるへしといふナリ
こさゝかハらにかせもこそふけわつらハし
くおほす事ならすは・なにかつゝまむ・もし」(5ウ・272J)
すかい給ふかとも・いひあへす・人/\おき
さハき・うへの御つほねに・まひりちかふけし
きとも・しけくまよへハ・いとハりなくて・あふき
ハかりをしるしに・とりかへていて給ひぬ・きりつ
ほにハ人/\おほくさふらひて・おとろきた
るもあれハ・かゝるをさもたゆミなき御しのひ
ありきかなと・つきしろひつゝ・そらねをそ
0034【つき】−突
しあへる・いり給ひてふし給へれと・ねいられ
す・おかしかりつる人のさまかな・女御の御
おとうとたちにこそハあらめ・また世になれぬ」(6オ・273B)
0035【世になれぬ】−ぬしなきをいふ
ハ・五六の君ならんかし・そちの宮の北の
0036【そち】−帥<朱>
方頭中将のすさめぬ四の君なとこそ・よ
しときゝしか・なか/\それならましかハ・いま
すこしおかしからまし・六ハ春宮にたて
0037【六ハ】−朧月夜也
まつらんと・心さし給へるを・いとおし(△&2し)うもあ
るへいかな・わつらハしうたつねむ程も・ま
きらハしさてたえなむとハおもはぬけし
きなりつるを・いかなれハ・ことかよハすへきさま
0038【こと】−言
を・ゝしへすなりぬらんなとよろつにおもふも・
心のとまるなるへし・かうやうなるにつ」(6ウ・273G)
けても・まつかのわたりのありさまの・こよ
0039【かのわたり】−葵上
なうおくまりたるハやと・ありかたふおもひ
くらへられ給ふ・その日ハ後宴の事ありて・
まきれくらしたまひつ・さうのことつ
かうまつり給・きのふの事よりも・なまめ
かしうおもしろし・ふちつほハあかつきに
まうのほり給にけり・かのありあけ・いてやし
0040【ありあけ】−尚侍
ぬらんと・心も空にて・おもひいたらぬくまな
きよ(よ+1しきよ)これミつを・つけて・うかゝはせ給けれは・
0041【よしきよこれミつ】−良清 惟光
おまへよりまかて給ひけるほとに・たゝいま北」(7オ・237L)
のちんより・かねてよりかくれたちて侍つ(つ#1つ)る
車とも・まかりいつる・御かた/\のさと人侍つる
中に・四位の少将・右中弁なと・いそきいてゝ・
0042【四位の少将右中弁】−両人二条太政大臣子
をくりし侍つるや・弘徽殿の御あかれならん
0043【御あかれ】−女御御里ヘいて給ふ也
と見給へつる・けしうハあらぬけハひともし
るくて・くるまみつはかり侍つときこゆる
にも・むねうちつふれ給ふ・いかにして・いつれ
としらむ・ちゝおとゝなときゝて・こと/\しう
もてなさんも・いかにそや・また人のありさま
よく見さためぬほとは・わつらハしかるへし・」(7ウ・274D)
さりとてしらてあらんハた・いとくちおし
かるへけれハ・いかにせましとおほしわつ
らひて・つく/\となかめふし給へり・ひめ
0044【ひめ君】−紫上
君いかにつれ/\ならん・ひころになれハ・くし
てや・あらむと・らうたくおほしやる・かのしる
しのあふきハ・さくらかさねにて・こきか
0045【さくらかさねにて】−\<朱合点> 檜扇ノ両方ノうへ三枚つゝをうす様ニテツヽミテいろ/\の糸にてトチテすへニあはひにむすひたる也 五重の扇も同<右> 清少納言枕草子 ナマメカシキ物三へかさねのあふき五へニナリヌレハあまりあつくて
たにかすめる月越かきて・水にうつしたる
心はへめなれ(れ+1たる事なれ)と・ゆへなつ(△&2つ)かしう・もてならし
たり・くさのハらをハといひしさまのミ(△&2ミ)・心
にかゝり給へハ」(8オ・274I)
世にしらぬ心ちこそすれ有明の
0046【世にしらぬ】−源氏
月のゆくゑをそらにまかへてとかきつけ
給ひてをき給へり・おほいとのにも・ひさしうな
りにけるとおほせと・わか君も・心くるしけれ
0047【わか君】−紫上
ハ・こしらへむとおほして・二条院へおハし
ぬ・見るまゝにいとうつくしけにおひなりて・
0048【見るまゝに】−紫上十二歳也
あいきやうつきらう/\しき心はえ・いと
ことなり・あかぬ所なう・わか御心のまゝに・をしへ
なさんとおほすに・かなひぬへし・おとこの御
をしへなれハ・すこし人なれたる事やまし」(8ウ・275A)
らむとおもふこそ・うしろめたけれ・日ころ
の御ものかたり・御ことなと・をしへくらして
いて給ふを・れいのとくちおしくう(くう$1う<朱>)おほせと・
いまハいとようならハされて・わりなくハしたひ
まつハさす・おほいとのにハ・れいのふともたいめん
0049【たいめん】−葵上
したまハす・つれ/\と・よろつおほしめくらさ
れて・さうの御ことまさくりて・やハらかに・ぬる
0050【やハらかにぬる夜ハなくて】−\<朱合点> ヌキ川ノせゝノタマクラヤワラカニヌルヨワナクテヲヤサクルツマ 貫河律哥
夜ハなくてと・うたひ給・おとゝわたり給ひて・
一日の・けふありし事きこえ給ふ・こゝらの
よハひにて・めいわうの御代・四代をなんミ侍」(9オ・275F)
ぬれと・このたひのやうに・ふミとも・きやう
0051【きやうさくに】−[辷-一+景]迹也 あらハなる心也 一云さとくしるき心也 一説警策也
さくに・まひ・かくものゝねともとゝ(ゝ$1と<朱>)のほりて・よ
ハひのふる事なむ・侍らさりつる・道/\の・もの
の上手とも・おほかるころをひ・くハしうしろし
めし・とゝのへさせ給へるけなり・おきなもほと
0052【ほとほと】−殆
ほとまひいてぬへき・心ちなんし侍しときこ
え給へハ・ことにとゝのへおこなふ事も侍らす・
0053【ことに】−源氏
たゝおほやけ事にそしうなるものゝしとも
を・こゝかしこにたつね侍しなり・よろつのこと
よりハ・柳花苑・まことにこうたいのれいとも」(9ウ・275L)
なりぬへく見たまつ(つ$1へ<朱>)しに・ましてさめ(め$1か<朱>)
0054【さかゆくはるに】−\<朱合点> 古今 今コソアレ我モ昔ハ男山サカユク時モ有コシ物ヲ
ゆくはるに・たちいてさせ給へましかハ・世の
めんほくにや侍らましと・きこえ給ふ・弁中将・
なとまいりあひて・かうらむにせなかをし
つゝ・とり/\にものゝねとも・しらへあハせてあ
そひ給ふ・いとおもしろし・かのありあけの
0055【ありあけの君】−朧月夜尚侍
君ハ・はかなかりし夢をおほしいてゝいとも
のなけかしう・なかめ給ふ・春宮にハ・卯月
はかりとおほしさためたれハ・いとわりなうお
ほしみたれたるを・おとこもたつね給ハむ」(10オ・276C)
に・あとはかなくハあらねと・いつれともしらて・こと
にゆるし給ハぬあたりに・かゝ(ゝ$1か<朱>)つらハむも・人わ
るくおもひわつらひ給ふにやよひの廿余日(△△&2余日)
右大殿の・ゆミのけちに・かむたちめみこ
0056【右大殿のゆミのけち】−二条右大臣藤花宴事
0057【けち】−結也
たち・おほくつとへ給て・やかてふちの宴し
0058【たち】−殿上人
給ふ・花さかりハすきにたるを・ほかのちりなむ
とや・をしへられたりけむ・をくれてさくさくら・
ふた木そ・いとおもしろき・あたらしう
つくり給へる殿を・宮たちの御もきの日・
0059【宮たちの御もき】−弘徽殿女御の御腹の宮達也
みかきしつらハれたりはな/\とものし」(10ウ・276I)
給殿のやうにて(て+0ヰトイ、ヰトイ#1<朱>)・なに事もいまめかしう(う=1くイ、くイ#1<朱>)も
てなし給へり・源氏の君にも・一日うちにうく(うく$1て<朱>)
御たいめんのついてに・きこえ給しかと・おハせね
ハ・くちおしうものゝハへなしとおほして・御
0060【ハへなし】−光也 栄也
0061【御】−ヲン
この四位の少将を・たてまつりたまふ
0062【四位の少将】−軒ハの荻の夫也(軒ハの荻の夫也#4)
わかやとの花しなへての色ならは
0063【わかやとの】−右大臣
なにかハさらに君をまたまし内におはする
ほとにてうへにうこ(うこ$1そう<朱>)し給ふ・したりかほなり
やと・わらハせ給て・わさとあめるを・はやうもの(の$1)
せよかし・女御(御#1<墨>み<朱>)こたちなとも・おいひ(ひ$1い<朱>)つる」(11オ・277@)
0064【女みこたち】−弘キ殿ノ御腹の宮たち也
所なれハ・なへてのさまにハ思ましき越な
との給ハす・御よそひなと・ひきつくろひ給
0065【御よそひ】−粧
て・いたうくるゝほとに・またれてそ・わたり給さ
くらのからのきの御な越し・えひそめのした
0066【からのき】−綺 うすきからあや也
0067【えひそめ】−蒲陶染
0068【したかさね】−下襲
かさね・しりいとなかくひきて・みな人ハうへの
0069【しり】−裾
きぬなるに・あされたる・おほきミすかたのな
0070【あされたる】−鮮也 又宿老之義歟 あハたすけ詞也 宿の字越されたるといへり
まめきたるにて・いつかれいりたまへる御さま・
けにいとことなり・花のにほひもけおされて・な
か/\ことさましになむ・あそひなといとおも
しろうし給て・夜すこしふけゆく程に・」(11ウ277F)
源氏のきミ・いたくゑいなやめるさまにもて
なし給て・まきれたち給ひぬ・しむ殿に・
女一宮・女三宮の・おハします・ひむかしのと
0071【女一宮女三宮】−皆弘キ殿女御の御腹也
0072【とくち】−ツマ戸ノクチ也
くちにおハして・よりゐたまへり・ふちハ
こなたのつまにあたりてあれハ・みかうし
ともあけわたして・人/\いてゐたり・
そてくちなと・たうかのおりおほえて・ことさ
0073【たうか】−男踏哥
らめきもていてたるを・ふさハしからす
0074【ふさハしからす】−不祥 日本紀
と・まつふちつほわたりおほしいてらる・
なやましきに・いといたうしひられて・わひにて」(12オ・277K)
0075【わひにて】−ワヒタル也ニハ詞也
侍り・かしこけれと・このおまへにこそハ・かけ
0076【かしこけれ】−をそれねと也
0077【かけにもかくさせ】−\<朱合点> いせ物かたり サク花の下ニカクルヽ人ヲホミ有シニマサル藤ノカケカモ
にもかくさせ給ハめとて・つまとのみすを・ひ
きゝたまへハ・あなわつらハし・よからぬ人こそ・
やむことなきゆかりハ・かこち侍なれといふけし
0078【ゆかりハ】−源氏のイモウトノ宮タチヲワシマス也
きを・見給ふに・おも/\しうハあらねと・
をしなへてのわかうとともにハあらす・あ
てにおかしきけハひしるし・そらたきも
のいとけふたうくゆりて・きぬのをとなひ・い
とはなやかにふるまひなして・心にくゝをく
まりたるけハひハ・たちをくれ・いまめかしき」(12ウ・278B)
事を・このミたるわたりにて・やむことなき
御方/\・ものミ給とて・このとくちハ・しめた
まへるなるへし・さしもあるましき事
なれと・さすかにおかしうおもほされて・いつれ
0079【いつれならむ】−あり明君
ならむと・むねうちつふれて・あふきをとら
0080【あふきをとられて】−石川ノこまう人ニおひをとられてからきハヒスルいかなるおひそ花田ノ帯の中ハたえたる 催馬楽石川
れて・からきめ越見るとうち・おほとけたるこ
ゑに・いひなして・よりゐたまへり・あやし
くもさまかへける・こまうとかなといらふるは・
0081【こまうと】−\<朱合点>
心しらぬにやあらん・いらへハせて・たゝとき/\
うちなけくけハひするかたに・よりかゝり」(13オ・278G)
て・き丁こしに・手越とらへて
あつさゆミいるさのやまにまとふ哉
0082【あつさゆミ】−源氏 弓の結の日なれハかくよめり<右> アツサ弓入サノ山ハ朝キリノアタルコトニヤイロマサルラン 宗于
ほの見し月のかけや見ゆるとなにゆへかと・
をしあてにのたまふを・えしのはぬな
るへし
心いるかたならませハゆみはりの
0083【心いる】−おほろ
月なき空にまよハ(ハ+1ま<朱>)しやハといふこゑたゝそ
れなりいと・うれしきものから
任師説加首書已下 良鎮」(13ウ・278L)
【奥入01】なをあらしに詞 万葉集第七
黙然不有 なをあらしと事なしくさにいふ事ウ
きゝれハすくなかりけり
【奥入02】貫河律
ぬ支可波乃世々のノや波良多末久良
也波良加尓 ぬ留与波名久天 於也左久留
川末於や左久留川末波末之天留波之
之加左良波や波々 千加伊乃保曽之支乎
可戸 左之波支天 宇波毛と利支天
美や知加与波牟」(14オ)
【奥入03】石川呂
伊之加波の己末宇と尓 於比乎と良礼
天可良支久以須留 己比須留
伊可奈留以可奈留於比曽 波奈多の
於比の奈可波多伊礼太留加可や留可
あや留加奈可波太 伊礼太留可」(14ウ)
二校了<朱> 一校了<朱>」(表表紙蓋紙)