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「花のえん」(題箋)

  きさらきのはつかあまり南殿のさ
  くらの宴せさせ給后春宮の御つほね
0001【后】−藤壺
0002【春宮】−朱雀院
  左右にしてまうのほりたまふ弘徽殿の
  女御中宮のかくておわする越折ふし
  ことにやすからすおほせとものミにはえ
0003【ことに】−毎ナリ
  すくし給ハてまいり給日いとよくはれて
  空のけしき鳥のこゑも心ちよけなる
  にみこたちかむたちめよりはしめて
  の道のハみなたむゐむ給ハりてふミつ
0004【たむゐむ】−探韻也 各分一字詩也
0005【ふミつくり】−作文
  くり給ふ宰相中将春といふもし給は」(1オ・269D)
0006【宰相中将】−源氏

  れりとの給ふこゑさへれいの人にこと
  なりつきに頭中将人のめうつしもたゝな
  らすおほゆへかめれといとめやすくもう(う
<朱>)
  く(く
<朱>)しつめてこハつかひなともの/\しくす(△&す)
  くれたりさての人/\ハみなをくしかち
0007【をくしかち】−臆
  にはなしろめるおほかり地下の人ハまし
0008【はなしろめる】−世俗におくしたる事を鼻しろむといふ
  てみかと春宮の御さえかしこく
  くれておハしますかゝるかたにやむゝ(ゝ
<朱>)となき
  人おほくものし給ふころなるにはつか
  しくはる/\とくもりなきにはにたち」(1ウ・269I)

  いつるほとはしたなくてやすき事なれと
  くるしけなりとしおいたるはかせとものなり
0009【はかせ】−博士
  あやしくやつれてれいなれたるもあハれ
0010【なれ】−馴
  にさま/\御らんするなむおかしかりける
  かくともなとハさらにもいはすとゝ(ゝ
<朱>)のへさせ
0011【かく】−楽
  給へりやう/\入日になるほと春の鴬さへ
0012【春の鴬さへつるといふまひ】−春鴬囀一越調 一名天長宝寿楽
  つるといふまひいとおもしろく見ゆるに
  源氏の御もみちの賀のおりおほしいてら
  れて春宮かさしたまハせてせちにせ
  めのたまハするにのかれかたくてたちて」(2オ・270A)

  のとかにそてかへすところをひとをれけし
  きハかりまひ給へるににるへきものなく
  見ゆ左(左
<朱>)のおとゝうらめしさもわすれて
0013【左のおとゝ】−摂政
0014【うらめしさ】−女葵上事
  涙をとし給ふ頭中将いつらおそしとあれ
  は柳花苑といふまひをこれハいますこし
  すくしてかゝる事もやと心つかひや
  しけむいとおもしろ(△&
ろ)けれは御そ給
0015【いとおもしろけれは】−花宴事了 王卿以下各賜禄也
0016【御そ】−御衣
  ハりていとめつらしき事に人をもへり
  むたちめミなみたれてまひ給へと夜に
  入てはことにけちめも見えすふミなとかう」(2ウ・270F)
0017【ふミなとかうするにも】−舞楽之後講詩定事也

  するにも源氏の君の御をハかうしもえよミ
0018【御をハ】−御詩也
  やらすくことにすしのゝしるはかせともの
0019【すし】−誦
  心にもいみしうおもへりかうやうのおりに
  もまつこの君をひかりにしたまつ(つ
<朱>)れは
  みかともいかてかをろかにおほされれ(れ
<朱>)ん
  宮御めのとまるにつけて春宮の女御の
0020【春宮の女御】−春宮の母女御也
  あなかちににくみ給らむもあやしう
  しう(しう
<朱>)わかかうおもふも心うしとそみつから
  おほしかへされける
    おほかたに花のすかたを見ましかは」(3オ・270K)
0021【おほかたに】−藤壺<右> 古今 露ナラヌ心越花ニヲキソメテ風ふくことに物ヲモイソツク

  露も心のおかれましやハ御心のうちなりけん
  こといかてもりにけむ夜いたうふけてな
  むことはてける上達部をのをのあかれ
0022【あかれ】−分散ナリ
  春宮かへらせ給ひぬれはのとやかになり
  ぬるに月いとあかうさしいてゝおかしき
  を源氏の君ゑい心ちに見すくしかたく
  おほえ給ひけれハうへの人/\もうちやす
  みてかやうに思ひかけぬほとにもしさりぬ
  へきひまもやあるとふちつほわたり
  をハ(ハ
<朱>)りなふしのひてうかゝひありけとかたら」(3ウ・271B)

  ふへきとくちもさしてけれハうちなけ
  きてなをあらしに弘徽殿のほそとのに
0023【なをあらしに】−<朱合点> 万 なをあらしとことなしくさにいふこと越きゝしれらくハすくなかりけり
0024【ほそとの】−細殿也 廊を細殿といふ 一説廂を云
  たちより給つ(つ
<朱>)れハ三のくちあきたり
0025【三のくち】−弘徽殿に北南へほそくとをりたる戸あり 是ハ北より第三間ニアタル戸也格子ヤリ戸也<左>
  女御ハうへの御つほねにやかてまうのほり
  給にけれハ人すくなゝるけハひなりおく
  のくるゝともあきて人をともせすかやう
0026【くるゝと】−クルヽ木也或ハタヽキ戸とも号也
  にて世中のあやまちハするそかしと思ひ
  てや△(△#
<墨><朱>)らのほりてのそき給人ハみなねた
  るへしいとわかうおかしけなるこゑのなへ
0027【いとわかうおかしけなるこゑの】−源氏君通朧月夜尚侍事
  ての人とハきこえぬおほろ月夜ににる」(4オ・271G)
0028【おほろ月夜ににるものそなき】−<朱合点> 大江千里 てりもせすくもりもはてぬ春のヨノヲボロ月ヨニシク物ソナキ 是ニヨツテ朧月ヨノ尚侍ノ御門といふ

  ものそなきとうちすしてこなたさまに(に+ハ)く
  るものかいとうれしくてふと袖越とらへ
  たまふ女おそろしと思へるけしきにて
  なむくつけこハたそとの給へとなにかうと
  ましきとて
    ふかき夜のあハれをしるも入月の
0029【ふかき夜の】−宵灯共憐深夜月
  おほろけならぬ契とそおもふとてやをら
  いたきおろしてとハをしたてつあさまし
0030【とハ】−戸
  きにあきれたるさまいとなつかしうおかしけなり
  わなゝく/\こゝに人とのたまへとまろハみな」(4ウ・271M)

  人にゆるされたれハめしよせたりとも
  なむてう事かあらんたゝしのひてこそと
  の給ふこゑにこのきミなりけりときゝ
  さためていさゝかなくさめけりわひしとおもへる
  ものからなさけなくこわ/\しうハ見えし
  とおもへりゑい心ちやれいならさりけむ
  るさん事ハくちおしきに女もわかうた(△△&
うた)を
  やきてつよき心もしらぬなるへしらう
  たしと見給ふにほとなくあけゆけハ
  あハたゝし女ハましてさま/\におもひみ」(5オ・272D)

  たれたるけしきなり猶なのりしたま
  へいかてきこゆへきかうてやミなむとハ
  さりともおほされしとの給へハ
    うき身世にやかてき△(△#
)え(え<朱>、<墨>、え+)はたつねても
0031【うき身世に】−おほろ月夜
  草のはらをはとはしとやおもふといふさま
  えむになまめきたりことハりやきこえた
  かへたるもしかなとて
0032【しかなとて】−サソナノ心也
    いつれそと露のやとりをわかむまに
0033【いつれそと】−源氏 いつれそとタツネン程も猶おほつかなかるへしといふナリ
  こさゝかハらにかせもこそふけわつらハし
  くおほす事ならすはなにかつゝまむもし」(5ウ・272J)

  すかい給ふかともいひあへす人/\おき
  さハきうへの御つほねにまひりちかふけし
  きともしけくまよへハいとハりなくてあふき
  ハかりをしるしにとりかへていて給ひぬきりつ
  ほにハ人/\おほくさふらひておとろきた
  るもあれハかゝるをさもたゆミなき御しのひ
  ありきかなとつきしろひつゝそらねをそ
0034【つき】−突
  しあへるいり給ひてふし給へれとねいられ
  すおかしかりつる人のさまかな女御の御
  おとうとたちにこそハあらめまた世になれぬ」(6オ・273B)
0035【世になれぬ】−ぬしなきをいふ

  ハ五六の君ならんかしそちの宮の北の
0036【そち】−<朱>
  方頭中将のすさめぬ四の君なとこそ
  しときゝしかなか/\それならましかハいま
  すこしおかしからまし六ハ春宮にたて
0037【六ハ】−朧月夜也
  まつらんと心さし給へるをいとおし(△&
し)うもあ
  るへいかなわつらハしうたつねむ程も
  きらハしさてたえなむとハおもはぬけし
  きなりつるをいかなれハことかよハすへきさま
0038【こと】−言
  をゝしへすなりぬらんなとよろつにおもふも
  心のとまるなるへしかうやうなるにつ」(6ウ・273G)

  けてもまつかのわたりのありさまのこよ
0039【かのわたり】−葵上
  なうおくまりたるハやとありかたふおもひ
  くらへられ給ふその日ハ後宴の事ありて
  まきれくらしたまひつさうのことつ
  かうまつり給きのふの事よりもなまめ
  かしうおもしろしふちつほハあかつきに
  まうのほり給にけりかのありあけいてやし
0040【ありあけ】−尚侍
  ぬらんと心も空にておもひいたらぬくまな
  きよ(よ+
しきよ)これミつをつけてうかゝはせ給けれは
0041【よしきよこれミつ】−良清 惟光
  おまへよりまかて給ひけるほとにたゝいま北」(7オ・237L)

  のちんよりかねてよりかくれたちて侍つ(つ#つ)る
  車ともまかりいつる御かた/\のさと人侍つる
  中に四位の少将右中弁なといそきいてゝ
0042【四位の少将右中弁】−両人二条太政大臣子
  をくりし侍つるや弘徽殿の御あかれならん
0043【御あかれ】−女御御里ヘいて給ふ也
  と見給へつるけしうハあらぬけハひともし
  るくてくるまみつはかり侍つときこゆる
  にもむねうちつふれ給ふいかにしていつれ
  としらむちゝおとゝなときゝてこと/\しう
  もてなさんもいかにそやまた人のありさま
  よく見さためぬほとはわつらハしかるへし」(7ウ・274D)

  さりとてしらてあらんハたいとくちおし
  かるへけれハいかにせましとおほしわつ
  らひてつく/\となかめふし給へりひめ
0044【ひめ君】−紫上
  君いかにつれ/\ならんひころになれハくし
  てやあらむとらうたくおほしやるかのしる
  しのあふきハさくらかさねにてこきか
0045【さくらかさねにて】−<朱合点> 檜扇ノ両方ノうへ三枚つゝをうす様ニテツヽミテいろ/\の糸にてトチテすへニあはひにむすひたる也 五重の扇も同<右> 清少納言枕草子 ナマメカシキ物三へかさねのあふき五へニナリヌレハあまりあつくて
  たにかすめる月越かきて水にうつしたる
  心はへめなれ(れ+
たる事なれ)とゆへなつ(△&つ)かしうもてならし
  たりくさのハらをハといひしさまのミ(△&
ミ)
  にかゝり給へハ」(8オ・274I)

    世にしらぬ心ちこそすれ有明の
0046【世にしらぬ】−源氏
  月のゆくゑをそらにまかへてとかきつけ
  給ひてをき給へりおほいとのにもひさしうな
  りにけるとおほせとわか君も心くるしけれ
0047【わか君】−紫上
  ハこしらへむとおほして二条院へおハし
  ぬ見るまゝにいとうつくしけにおひなりて
0048【見るまゝに】−紫上十二歳也
  あいきやうつきらう/\しき心はえいと
  ことなりあかぬ所なうわか御心のまゝにをしへ
  なさんとおほすにかなひぬへしおとこの御
  をしへなれハすこし人なれたる事やまし」(8ウ・275A)

  らむとおもふこそうしろめたけれ日ころ
  の御ものかたり御ことなとをしへくらして
  いて給ふをれいのとくちおしくう(くう
<朱>)おほせと
  いまハいとようならハされてわりなくハしたひ
  まつハさすおほいとのにハれいのふともたいめん
0049【たいめん】−葵上
  したまハすつれ/\とよろつおほしめくらさ
  れてさうの御ことまさくりてやハらかにぬる
0050【やハらかにぬる夜ハなくて】−
<朱合点> ヌキ川ノせゝノタマクラヤワラカニヌルヨワナクテヲヤサクルツマ 貫河律哥
  
夜ハなくて
うたひ給おとゝわたり給ひて
  一日のけふありし事きこえ給ふこゝらの
  よハひにてめいわうの御代四代をなんミ侍」(9オ・275F)

  ぬれとこのたひのやうにふミともきやう
0051【きやうさくに】−[辷-一+景]迹也 あらハなる心也 一云さとくしるき心也 一説警策也
  さくにまひかくものゝねともとゝ(ゝ
<朱>)のほりて
  ハひのふる事なむ侍らさりつる道/\のもの
  の上手ともおほかるころをひくハしうしろし
  めしとゝのへさせ給へるけなりおきなもほと
0052【ほとほと】−殆
  ほとまひいてぬへき心ちなんし侍しときこ
  え給へハことにとゝのへおこなふ事も侍らす
0053【ことに】−源氏
  たゝおほやけ事にそしうなるものゝしとも
  をこゝかしこにたつね侍しなりよろつのこと
  よりハ柳花苑まことにこうたいのれいとも」(9ウ・275L)

  なりぬへく見たまつ(つ<朱>)しにましてさめ(め<朱>)
0054【さかゆくはるに】−<朱合点> 古今 今コソアレ我モ昔ハ男山サカユク時モ有コシ物ヲ
  ゆくはるにたちいてさせ給へましかハ世の
  めんほくにや侍らましときこえ給ふ弁中将
  なとまいりあひてかうらむにせなかをし
  つゝとり/\にものゝねともしらへあハせてあ
  そひ給ふいとおもしろしかのありあけの
0055【ありあけの君】−朧月夜尚侍
  君ハはかなかりし夢をおほしいてゝいとも
  のなけかしうなかめ給ふ春宮にハ卯月
  はかりとおほしさためたれハいとわりなうお
  ほしみたれたるをおとこもたつね給ハむ」(10オ・276C)

  にあとはかなくハあらねといつれともしらてこと
  にゆるし給ハぬあたりにかゝ(ゝ
<朱>)つらハむも人わ
  るくおもひわつらひ給ふにやよひの廿余日(△△&
余日)
  右大殿のゆミのけちにかむたちめみこ
0056【右大殿のゆミのけち】−二条右大臣藤花宴事
0057【けち】−結也
  たち・おほくつとへ給てやかてふちの宴し
0058【たち】−殿上人
  給ふ花さかりハすきにたるをほかのちりなむ
  とやをしへられたりけむをくれてさくさくら
  ふた木そいとおもしろきあたらしう
  つくり給へる殿を宮たちの御もきの日
0059【宮たちの御もき】−弘徽殿女御の御腹の宮達也
  みかきしつらハれたりはな/\とものし」(10ウ・276I)

  給殿のやうにて(て+ヰトイ、ヰトイ<朱>)なに事もいまめかしう(う=くイ、くイ<朱>)も
  てなし給へり源氏の君にも一日うちにうく(うく
<朱>)
  御たいめんのついてにきこえ給しかとおハせね
  ハくちおしうものゝハへなしとおほして
0060【ハへなし】−光也 栄也
0061【御】−ヲン
  この四位の少将をたてまつりたまふ
0062【四位の少将】−軒ハの荻の夫也(軒ハの荻の夫也#

    わかやとの花しなへての色ならは
0063【わかやとの】−右大臣
  なにかハさらに君をまたまし内におはする
  ほとにてうへにうこ(うこ
そう<朱>)し給ふしたりかほなり
  やとわらハせ給てわさとあめるをはやうもの(の$

  せよかし女御(御#
<墨><朱>)こたちなともおいひ(ひ<朱>)つる」(11オ・277@)
0064【女みこたち】−弘キ殿ノ御腹の宮たち也

  所なれハなへてのさまにハ思ましき越な
  との給ハす御よそひなとひきつくろひ給
0065【御よそひ】−粧
  ていたうくるゝほとにまたれてそわたり給さ
  くらのからのきの御な越しえひそめのした
0066【からのき】−綺 うすきからあや也
0067【えひそめ】−蒲陶染
0068【したかさね】−下襲
  かさねしりいとなかくひきてみな人ハうへの
0069【しり】−裾
  きぬなるにあされたるおほきミすかたのな
0070【あされたる】−鮮也 又宿老之義歟 あハたすけ詞也 宿の字越されたるといへり
  まめきたるにていつかれいりたまへる御さま
  けにいとことなり花のにほひもけおされて
  か/\ことさましになむあそひなといとおも
  しろうし給て夜すこしふけゆく程に」(11ウ277F)

  源氏のきミいたくゑいなやめるさまにもて
  なし給てまきれたち給ひぬしむ殿に
  女一宮女三宮のおハしますひむかしのと
0071【女一宮女三宮】−皆弘キ殿女御の御腹也
0072【とくち】−ツマ戸ノクチ也
  くちにおハしてよりゐたまへりふちハ
  こなたのつまにあたりてあれハみかうし
  ともあけわたして人/\いてゐたり
  そてくちなとたうかのおりおほえてことさ
0073【たうか】−男踏哥
  らめきもていてたるをふさハしからす
0074【ふさハしからす】−不祥 日本紀
  とまつふちつほわたりおほしいてらる
  なやましきにいといたうしひられてわひにて」(12オ・277K)
0075【わひにて】−ワヒタル也ニハ詞也

  侍りかしこけれとこのおまへにこそハかけ
0076【かしこけれ】−をそれねと也
0077【かけにもかくさせ】−<朱合点> いせ物かたり サク花の下ニカクルヽ人ヲホミ有シニマサル藤ノカケカモ
  にもかくさせ給ハめとてつまとのみすを
  きゝたまへハあなわつらハしよからぬ人こそ
  やむことなきゆかりハかこち侍なれといふけし
0078【ゆかりハ】−源氏のイモウトノ宮タチヲワシマス也
  きを見給ふにおも/\しうハあらねと
  をしなへてのわかうとともにハあらす
  てにおかしきけハひしるしそらたきも
  のいとけふたうくゆりてきぬのをとなひ
  とはなやかにふるまひなして心にくゝをく
  まりたるけハひハたちをくれいまめかしき」(12ウ・278B)

  事をこのミたるわたりにてやむことなき
  御方/\ものミ給とてこのとくちハしめた
  まへるなるへしさしもあるましき事
  なれとさすかにおかしうおもほされていつれ
0079【いつれならむ】−あり明君
  ならむとむねうちつふれてあふきをとら
0080【あふきをとられて】−石川ノこまう人ニおひをとられてからきハヒスルいかなるおひそ花田ノ帯の中ハたえたる 催馬楽石川
  れて
からきめ越見る
うちおほとけたるこ
  ゑにいひなしてよりゐたまへりあやし
  くもさまかへけるこまうとかなといらふるは
0081【こまうと】−<朱合点>
  心しらぬにやあらんいらへハせてたゝとき/\
  うちなけくけハひするかたによりかゝり」(13オ・278G)

  てき丁こしに手越とらへて
    あつさゆミいるさのやまにまとふ哉
0082【あつさゆミ】−源氏 弓の結の日なれハかくよめり<右> アツサ弓入サノ山ハ朝キリノアタルコトニヤイロマサルラン 宗于
  ほの見し月のかけや見ゆるとなにゆへかと
  をしあてにのたまふをえしのはぬな
  るへし
    心いるかたならませハゆみはりの
0083【心いる】−おほろ
  月なき空にまよハ(ハ
<朱>)しやハといふこゑたゝそ
  れなりいとうれしきものから

  任師説加首書已下 良鎮」(13ウ・278L)

【奥入01】なをあらしに詞 万葉集第七
  黙然不有 なをあらしと事なしくさにいふ事ウ
       きゝれハすくなかりけり
【奥入02】貫河律
  ぬ支可波乃世々のノや波良多末久良
  也波良加尓 ぬ留与波名久天 於也左久留
  川末於や左久留川末波末之天留波之
  之加左良波や波々 千加伊乃保曽之支乎
  可戸 左之波支天 宇波毛と利支天
  美や知加与波牟」(14オ)

【奥入03】石川呂
  伊之加波の己末宇と尓 於比乎と良礼
  天可良支久以須留 己比須留
  伊可奈留以可奈留於比曽 波奈多の
  於比の奈可波多伊礼太留加可や留可
  あや留加奈可波太 伊礼太留可」(14ウ)

  二校了<朱> 一校了<朱>」(表表紙蓋紙)